課税方式変更の見送り(相続税)

平成21年度税制改正において非上場株式等に係る相続税を80%猶予をする話を前提に相続税の現行の「法定相続分課税方式」から「遺産取得税方式」への変更が予定されておりましたが

当面見送られる事になりました。

政府税調いわく「幅広い国民の合意を得ながら議論を進める必要がある」との事ですが...

ここで相続税の課税方式について現行、どういった実態になっていたか
概要を簡単に説明します。

まず2つの課税体系について
 (1)遺産税体系・・・遺産全体を1つの単位とする課税方式
        長所:仮装分割を防ぐことができる。
        短所:財産の取得者ごとの担税力を考慮できない。
            富の集中の抑制ができない。

 (2)遺産取得税体系・・・遺産を取得した者を1つの単位とする課税方式
        長所:個人的担税力に応じた課税ができる。
            富の集中の抑制ができる。
        短所:仮装分割を防ぐことができない。

読んでお分かりのようにこの2つは長所・短所がまったくの真逆となる課税体系となります。

そして日本での現行の課税方式はこの2つ課税体系の折衷方式である
「法定相続分課税方式」が採用されています。

この課税方式では相続人等の課税価格を合算することで仮装分割を防いだうえで
法定相続分を用いることで個人的担税力に近しい課税を実現します。

ただし、すべての相続人等の課税価格を把握をしなければ相続税額を予測することが困難であり
小規模宅地等の減額、特定計画山林の減額などの特例は適用対象者のみならず他の共同相続人等の
税負担をも減額させてしまいます。さらに、1人の申告漏れや計算の錯誤が他の共同相続人等の
税額計算の誤りにもつながってしまいます。

以上の問題点を踏まえて「遺産取得税方式」への変更が検討されておりました。

が・・・当面の見送りとの事です。

相続税法第49条第1項に規定されている贈与税の申告内容の開示請求手続で
課税価格の把握の面での問題点は解消されていますが・・・

この「当面」という言葉がひっかりますね。
民主党が「遺産税体系」を指示しているという話も聞きます。
50年ぶりの大改正と言われた課税方式の変更はこの先果たしてありえるのでしょうか。

超過累進税率を適用する相続税において「遺産取得税方式」は納税額が増加するという懸念と
昨今の景気の悪化や国会のバタバタ・・・

法定相続分を用いることで租税回避を抑制している事や個人の担税力に近しい課税を行う事から
現行の「法定相続分課税方式」が最も合理的で理論的という意見もあります。

これからの改正に目が離せないです。

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